HOME >> 生産者情報 >> ドメーヌ・ヴァンサン・バシュレ(フランス/ブルゴーニュ地方)


↓INDEX↓
ドメーヌの歴史と概要
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栽培について
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醸造について
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AOCマランジュMarangesについて
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区画について
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キュヴェの詳細
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◆ドメーヌの歴史と概要◆

 ドメーヌ・ヴァンサン・バシュレの当主ヴァンサンは、ブルゴーニュ コート・ドール最南端AOCマランジュMaranges(ドゥジーズ・レ・マランジュDezize-les-Maranges)に代々引き継がれてきた家族ドメーヌ、ベルナール・バシュレBernard Bacheletの長男として生まれた。
 クライヴ・コーツが著書『コート・ドール』のなかで、『赤も白も素晴らしい、信頼のおける規範を見つけた。』とコメントし、マランジュの推薦するトップドメーヌに挙げるベルナール・バシュレを父に持ち、幼い頃からドメーヌの仕事に情熱を持ったヴァンサンは、ボーヌ醸造学校へ進学した。卒業後1年間の兵役を経て19歳でドメーヌに参画。そこで父からワイン造りの技術を受け継ぎ、後に加わる2人の弟と共に研鑽を積んだ。2007年、父ベルナールの引退を機に、ムルソー出身の母が持つアペラシオンを含めたブドウ園は分割され、相続した息子たちはそれぞれ独立した。1980年代にバシュレ家が購入したシャサーニュ・モンラッシェ村のラ・カニエールla Caniereにある、起源が18世紀に遡る見事なカーヴ(醸造所)はヴァンサンが引き継ぎ、2008年より自らのドメーヌ<ドメーヌ・ヴァンサン・バシュレ>をシャサーニュ・モンラッシェでスタートさせた。ヴァンサン・バシュレは1957年生まれ。経理を担当する妻と、2015年1月よりドメーヌに参画した娘のオロールとともにドメーヌを運営している。息子のエティエンヌはボーヌの醸造学業を卒業。トゥールーズでワインとスピリッツの専門学士課程を終えた後に、ドメーヌに加わった。
 ヴァンサンの二人の弟、ジャン・フランソワJean-Francois(次男)、ジャン・ルイJean-Louis(三男)に至っては、既にその子供達の代に引き継がれ、それぞれマランジュでドメーヌを創業している。主要ワインガイド各誌でその名が挙げられる、マランジュの名手揃いの一族である。


◆栽培について◆

 コート・ド・ボーヌに17ha所有(2018年現在)。主にシャサーニュ・モンラッシェにあり、マランジュ、サントネー、ムルソー、ポマール、サン・トーバンから、コート・ド・ニュイのジュヴレイ・シャンベルタンにわたる。ピノ・ノワール60%、シャルドネ33%、アリゴテ7%の割合。リュット・レゾネで必要に応じてオーガニック肥料のみを使用、古樹の保護、定期的な耕耘を実施。1月から3月にかけて冬の剪定を行い、春に季節労働者を雇い、芽かきを行う。摘葉、必要に応じてグリーン・ハーヴェストを実施。収穫は選果をしながら手摘みで行う。収量制限をした低収量のワインは、非常に凝縮した味わいとなる。

◆醸造について◆

 シャサーニュ・モンラッシェ村のラ・カニエールla Caniereにある18世紀に遡る見事なカーヴ(醸造所)は、長い間使用されず放置されていたが、バシュレ家が購入し、ヴァンサンが長い歳月を費やし整備した。自然の温度と湿度が保たれたワインの熟成に最適な場所で、父から受け継いだ伝統と質の追求を尊重したワイン造りを行っている。基本的に樽熟成は新樽率30%で12ヶ月間。樽はセガン・モローSeguin-Moreau、シャッサンChassin、ビヨンBillon社製を使用。熟成の間、定期的に醸造コンサルタントによる試飲、分析を実施。コンサルタントは、オリヴィエ・ルフレーヴOlivier Leflaive、ドメーヌ・ルフレーヴDomaine Leflaive、ペロ・ミノPerrot Minot、ドメーヌ・ソゼDomaine Sauvetなど最も名声の高いドメーヌを含む200のブルゴーニュのドメーヌが顧客に名を連ねるBURGUNDIA OENOLOGIE(ブルゴーニュ醸造研究所)の、「魔術師」ことキリアコス・キニゴプロスKyriakos Kynigopoulosとロラン・ミシュレLaurent Michelet。


◆AOCマランジュMarangesについて◆

 1989年5月23日付のデクレで認定された、ブルゴーニュでも新しいAOCマランジュは、コート・ド・ボーヌ地区最南端の栽培地域で、シュイィ・レ・マランジュCheilly-les-Maranges、サンピニィ・レ・マランジュSampigny-les-Maranges、ドゥジーズ・レ・マランジュDezize-les-Marangesの3村で構成されている。行政区分では、コート・シャロネーズと同様にソーヌ・エ・ロワール県に属するが、川を隔てたシャロネーズとは土壌が異なり、味わいはコート・ド・ボーヌに近い。
 グラン・クリュはなく、コミュナルとプルミエ・クリュで赤ワインと白ワインが認められる。7つのリュー・ディがプルミエ・クリュに格付けされ、リュー・ディ名を「プルミエ・クリュ」に続けて付記することが出来る。ドメーヌのブドウ園が位置するラ・フュシエールLa Fussiere、レ・クロ・ルソLes-Clos-Roussots、クロ・ド・ラ・ブティエールClos-de-la-Boutiere、クロ・ド・ラ・フュシエールClos-de-la-Fussiere、ラ・クロワ・オ・モワーヌLa-Croix-aux-Moines、ル・クロ・デ・ロワLe-Clos-des-Rois、ル・クロ・デ・ロワイエールLe-Clos-des-Loyeresの7つが1989年デクレで認定されるプルミエ・クリュ。
 典型的なコート・ド・ボーヌの丘陵地帯の東向きの斜面とは向きが異なり、多くは南南東の向きの斜面で、200〜400mの標高に位置している。南東部のシュイィ・レ・マランジュは小石の多い軽い土壌、ドゥジーズ・レ・マランジュとサンピニィ・レ・マランジュはサントネーから続く地帯で、茶色の石灰岩と石灰質の泥灰岩。岩石と石化質の土壌のおかげで水はけがよく、ジュラ紀の石灰粘土を覆っている。ピノ・ノワールは特に丘の上で健やかに生長する。シャルドネは毎年7,000ヘクトリットル分が収穫されている。

プルミエ・クリュ ラ・フュシエール

 リュー・ディであるラ・フュシエールの総面積はマランジュ1級の中では圧倒的に広い11haを誇り、294〜404m(平均335m)の高緯に位置する。傾斜は3〜29%(平均10%)、南向き。中腹部は平坦で、丘陵部には湧水が多い。ワインは、果実味が十分に凝縮しており、マランジュ特有の荒々しいタンニンを抱え込む。すでにタンニンが十分乗っているので、醸造では多くを抽出必要がないともいわれる。マランジュ最上の区画の1つといわれる。
 赤ワインは、紫がかったルビー、フランボワーズの濃く輝くローブ。カシスの芽、赤い果実、スパイス、コンフィのブーケをもつ。フレッシュで甘草のタッチがあり、味わいは粘性に覆われ、胡椒のスパイシーな味わい。一般的に酸味をもち、3〜4年は愉しめ、プルミエ・クリュでは良好年であれば15年は愉しめる。滑らかで厚みのあるタンニンが溶け込み、強いアルコールを感じる。白ワインは、デリケートなゴールドのローブ。サンザシ、アカシア、スイカズラの白い花に火打石のノートを持ち、熟成するにつれ蜂蜜のニュアンスが増し、より個性が現れる。しなやかなニュアンスと繊細さ、厚みはさほどないものの凝ったディテールが特徴となっている。

クライヴ・コーツ著 『コート・ドールCote d’Or』

 マランジュの推薦するトップドメーヌにはバシュレ家(父ベルナールの代)が挙げられ、『赤も白も素晴らしい、信頼のおける規範を見つけた。』とコメントされている。
 マランジュは「黄金の丘」の終焉の地。サントネーを超え、この丘は南に向きを変える。シュイィ、ドゥジーズ、サンピニィの3つの村にまたがり、1989年に合体した1つのアペラシオンとなった。行政区分的にソーヌ・エ・ロワール県内に入るが、しかしながらここはまだブルゴーニュの中心だ。コート・シャロネーズの丘によって地層が南東に分断されているのだ。AOCマランジュの規定では、ブルゴーニュの一部である事を忘れられてはいない。完全に未知だが。赤ワインの大部分がコート・ド・ボーヌ・ヴィラージュにブレンドされてきた。以後、人々はマランジュを訪れ始めた。それは良い理由からだ。マランジュで行われている良質なワイン造りから興味深いワインが生まれ、かつそれらはコスト・パフォーマンスに優れている。魅力的な場所である。赤ワインは実直で逞しく、良い意味で粗野さが感じられ、マランジュよりも細身のコート・ド・ボーヌ・ヴィラージュの赤のブレンドに使われてきた。しかし、マランジュそのものの真価を確かめる価値は大いにある。上質な酸を備え、良く熟成するワインだからだ。

ジャスパー・モリス著 『ブルゴーニュワイン大全Inside Burgundy』

 ジュール・ラヴァルJules Lavalle※は、「マランジュはサントネーに似ている」と記している。ある意味、これは正しい。3村(シュイィ、ドゥジーズ、サンピニィ)の中央にあるレ・マランジュ丘陵は、サントネーの1級畑地帯の続きで、土壌もサントネーによく似たジュラ紀の石灰質である。「マランジュ」は、「ミュルジェ(murgers)」が訛ったものである。ミュルジェは、畑を開墾するときに掘り出した石を積み上げた土手であり、マランジュの丘陵地帯に多数残る。(中略)19世紀、ここは白ワインの地域だったが、20世紀に入り、ボーヌのネゴシアン(マランジュにとって最大の顧客)は、コート・ド・ボーヌの控えめな赤の対極となるタンニンの骨格がしっかりしたピノ・ノワールを欲しがった。現在マランジュの生産量の95%を赤が占めるが、砂利質土壌の斜面下部では、村名格付けの最上の白ができる。
※著書『コート・ドールのぶどうと銘酒の歴史と統計』(1855年)の格付けで有名な博士。

◆区画について◆

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◆キュヴェの詳細◆

Bourgogne AOC, Blanc/ブルゴーニュ 白  *参考品 ==>> 詳細はこちら
Maranges 1er Cru La Fussiere AOC Maranges, Blanc
/マランジュ ラ・フュシエール 一級 白 ==>> 詳細はこちら
Meursault Clos du Cromin AOC, Blanc
/ムルソー クロ・デュ・クロマン 白 ==>> 詳細はこちら
Puligny-Montrachet AOC, Blanc  *参考品
/ピュリニー・モンラッシェ 白 ==>> 詳細はこちら
Chassagne-Montrachet AOC, Blanc
/シャサーニュ・モンラッシェ 白 ==>> 詳細はこちら
Bourgogne Hautes Cotes de Beaune Vieilles Vignes AOC, Rouge *参考品
/ブルゴーニュ・オート・コート・ド・ボーヌ V.V. 赤 ==>> 詳細はこちら
Maranges 1er Cru La Fussiere Vieilles Vignes AOC, Rouge
/マランジュ ラ・フュシエール V.V. 一級 赤 ==>> 詳細はこちら
Chassagne-Montrachet Les Benoites AOC, Rouge  *参考品
/シャサーニュ・モンラッシェ レ・ブノワット 赤 ==>> 詳細はこちら
Santenay 1er Cru Clos des Mouches AOC, Rouge
/サントネー クロ・デ・ムーシュ 一級 赤 ==>> 詳細はこちら
Pommard Les Chanlins AOC, Rouge
/ポマール レ・シャンラン 赤 ==>> 詳細はこちら

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