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写真家、そして船乗り兼作家からワイン生産者へ
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フェレンク・マテ

 モンタルチーノで安定して最良の果実を生むといわれるサンタ・レスティトゥータの標高300-400mに、マテは合計7haの畑を所有している。この地域は霧(標高の低い場所では霧が発生し、果実の熟成を妨げるカビ対策を行う必要がある)と雨(標高が高くカビ発生のリスクが高まる時期まで収穫が遅れる)の影響を受けることはない。南、南西向きの畑は、日中、地中海から吹く涼しく換気の役割を果たす風の影響を受け、ブドウ樹を健康に保つことができ、夏でもストレス・フリーの環境が整っている。また、その風は周囲の木々も冷やし、日が沈んでから下方に流れる空気を冷却し、夜間、畑の温度も下げる。この昼夜の温度差が、濃厚ながら洗練されたワインを造るのに重要な役割を負っている。

 土壌は火山岩から化石や花崗岩が豊富な古代の海底、そして砂質の粘土まで多様。畝は斜面に平行し、カビや病害虫の繁殖を防ぐため、風向きに沿って立てている。畝とブドウ樹の間隔は通常より短く、畝の間隔を182センチ、ブドウ樹の間隔を92センチに設定。フェレンク曰く、後日訪問したシャトー・マルゴーの畝とブドウ樹の間隔は、脚で測定したところ、マテと全く同じだったとのこと。

 マテが所有する4つの畑のなかで最もフェレンクが愛し、偉大なものは、シラーが植えられたエトルリアのテラス状の区画。ミネラルが豊富で南向きの急斜面に6つの細いテラスの段々畑を作り、1段に2畝立てた。畑には草の種を撒き、藁を敷いた。この畑のブドウ樹はフェレンク自身が剪定している。どの畑よりも開花も収穫も早く、テラスごとに成熟が異なるため、最初と最後の収穫に1週間ほどの差が生じる。バンフィのCEO、リヴェッラ氏はこの区画について、「午後の海風で願ってもいない風の通り道ができる。あのテラスに、多分1エーカーくらいだろう・・・(唾を飲む)。シラーを植えれば、太陽を向いた丘のテラスに・・・どんなに偉大なワインができることか!」と語っている。また、苗木家のピエール=マリー・ギョームは、「もしあなたがここにシラーを植えないと言うのなら、私が植える」とこの区画がシラーにどれほど適しているか言葉にした。
左:シラーが植わるエトルリアのテラス状の畑

 クローンの植樹に際し、若木には微生物が不可欠というファブリツィオの助言によりトラック15台分の有機肥料(牛糞)を畑に撒いた。現在、すべての畑で栽培は有機農法のガイド・ラインに沿って行っている。

 栽培品種は、サンジョヴェーゼ、シラー、メルロー、カベルネ・ソーヴィニヨン。サンジョヴェーゼは化石が詰まった土壌、シラーはミネラルが豊富な南向きの斜面、メルローは砂質混じりの粘土、カベルネ・ソーヴィニヨンはガレストロ(片岩主体のトスカーナに多い)土壌に、それぞれ植えられている。

■エノロジスト 故カルロ・コリーノの教え■

ロベルト・チプレッソ  初ヴィンテージの2002年から2007年まで、フレスコバルディやシシリアのプラネタでコンサルタントを務めていたカルロ・コリーノが醸造コンサルタントとしてマテをバック・アップしてきた。彼はフェレンクとキャンディスにワイン作りに関する様々なことを伝えた。彼から学んだ最も大切なことは、偉大なワインは素晴らしいブドウからしか造られないということ。「人の力が及びセラーでの作業は10-15%ほどで、残りは最高の土地に最適のクローンを植えることにかかっている」とフェレンクは答える。現在、妻のキャンディスが醸造を担当している。彼女はソムリエの資格を取得し、カルロ・コリーノの教えを守り、新しくコンサルタントに招聘したロベルト・チプレッソと共にワイン造りを行っている。

ロベルト・チプレッソ (写真右)
 醸造学の就学中に出会ったブルネッロに感銘を受け、卒業後、ブルネッロの生産に着手。まず、カーゼ・バッセで研鑽を積み、その後、チャッチ・ピッコロミーニ・ダラゴーナの醸造長を務めた。ロベルト・チプレッソの名を世に知らしめたワインといえば、独立して仲間と共に造り上げたラ・フィオリータ。ブルネッロ好きにはたまらないカルト・ワインとなっている。
 また、「フリウリのカリスマ・メルロー」、ミアーニのコンサルタントとしても知られ、ブルネッロ以外でもその実力は高く評価されている。

■醸造について■

 マテのワイナリーには美術品のようなステンレス・タンクがある。これはフェレンクがシャトー・パルメで一目惚れしたタンクのレプリカ。パルメを訪れた翌朝、すぐにメーカーであるボルドーのMavil社に照会したフェレンクは、「そのタンクはパルメ用に特別に造ったもので、販売していない」と体よく断られた。しかしフェレンクは一度で諦める人間ではない。フランス人の性格上、脅しより褒めることが効果的であると考え、褒め倒し作戦でパルメの半分の容量のタンクのオーダーに成功した。こうして、翌春、3つのタンクを入手した。このようにフェレンクを虜にしたステンレス・タンクは一般的な円柱型ではなく、接頭円錐型で細部まで装飾が施された手の込んだ作りになっている。この36hlのタンクに加え、イタリア Cadalpe社製の50hl、 20hl、 8hl、 5hl、 2hlのステンレス・タンク11槽を所有している。

第1セラー  ブドウの収穫はすべて手摘み。発酵は温度管理されたステンレス・タンクで行うが、シラーだけは一部、オープン・トップのフランス産新樽(500g)で発酵させる。毎年8月にブルネッロ用の500gの樽(片方の側面に蓋がされていない状態)をフランスから購入し、その樽に入るだけのシラーを(場合によってはメルローも)、樽を立て、蓋を開けた状態で発酵させる。果実とスパイスの濃厚なアロマを保つために温度を低く保ちながら1日に4-5回の櫂入れを行い、色とタンニンを抽出する。ワインは3年未満の熟成。ブルネッロは500gのフレンチ・オークで、シラー、メルロー、カベルネ・ソーヴィニヨンは225gのバリックで熟成。瓶内熟成は9ヶ月。

第1セラー 家の1階部分

第2セラー 以前はガレージとして使われていた。 第2セラー

第3セラー

第3セラー 地下に造られた面積200u、高さ3.5〜4mのセラーで、現在ワイン醸造はここで行われている。
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