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ギョーム・グロ インタビュー

ーギョーム・グロ インタビュー

ギョーム・グロ 出水商事(以下 IZM): 2001年にドメーヌを創設されたそうですが,つまり最初のヴィンテージは2001年物ですか?それ以前から葡萄畑は貴方の家族の所有だったのですか?2001年以前葡萄畑はどのように管理されていたのですか?

ギョーム・グロ(以下GG): 私の最初のヴィンテージは確かに2001年です。葡萄畑は家族の所有畑と小作畑で,2000年までは共同組合によって管理されていました。

IZM:葡萄の栽培方法はリュット・レゾネですか,ビオロジックですか,それともバイオダイナミックですか?

GG:栽培方法は,ビオロジックと月の運行に基礎を置いています。しかし,私は一度たりともビオの認証を依頼したことはありません。なぜなら,私が思うにビオ・ワインを造るには,葡萄栽培だけでなく醸造まで行かなければならないからです(しかし現在,醸造に関するビオの工程表というものは存在しません)。また,葡萄畑が細分化しているため,隣接する区画が必ずしもビオではないという現状も理由です。バイオダイナミック農法は,一定の降雨量がある地方であれば非常に興味深いと思います。水が不足する我々の地方(年間降雨量275〜500ミリ)では実践する人も少なく,バイオダイナミック農法に関しては距離を置いて考える必要があります。

IZM:なぜ,水が不足する地方ではバイオダイナミックは興味深くないのですか?例えば,ローヌでもシャプティエなどはバイオダイナミックを実践していますが・・・。

GG:バイオダイナミック農法を実践するのには必ずしも水は必要ではありませんが,私が思うに,バイオダイナミック農法は湿気の多い地域,つまり,うどんこ病やベト病など,葡萄の病害に対する危険性がある地域や,葡萄の成熟が難しい地域において,植物に対する効果がより顕著になると思います。そういった地域では,果皮の硬化や皮の香りに対してケイ素(水晶→バイオダイナミックの501調合剤に使われる。501調合剤はバイオダイナミックにとっては基本中の基本となる調剤。)が非常に重要な役目をしていると思います。シャプティエに関しては,シャトーヌフの畑ではバイオダイナミックをしているのを見たことはありません。最近,私の友人であるシャトーヌフのドメーヌ・クロ・デュ・カイユのブリュノ・ガスパールが,バイオダイナミックを実践した彼の最初の年の成果を話してくれましたが,100%納得行く結果は得られず,私と同じような見解を持っていました。

IZM:貴ドメーヌのホームページに瓶詰めは月の運行に合わせて行なうと書かれていましたが,それはどのような理由からですか?月のどの周期において瓶詰めを行なうのですか?

GG:瓶詰めは,月が下弦から新月に向う間の期間で,バイオダイナミックカレンダーの「実の日」に行うのが望ましいです。

IZM:畑仕事も月の運行に基礎を置いて行なっていると聞きましたが・・・。

ドメーヌの畑 GG:その通りです。例を挙げましょう。例えば,ドメーヌでは明日から(2009年2月9日)剪定を再開します。ちょうど,明日から月が下弦から新月へと向う14日間のサイクルに入るからです。昔の人達は,この時期に葡萄の剪定を行なうと,若枝がゆっくりと成長することを促してくれることを認識していました。私もそう思っています。逆に,月が新月から満月に向う時期に剪定すると,より安定して,より風に耐性がある若枝になると言われています。下弦の月のもう1つの重要な効果は,根系(植物の地下部の総体)の働きに素晴らしい効果があることです。つまりテロワールとミネラルが最大限にワインに表出されることになるのです。その他の畑仕事においても同様で,下弦から新月の時期に作業を行なうことによって葡萄樹の根茎に有益な効果があるのです。月の影響というのは瓶詰めにおいてもとても重要です。

IZM:耕耘はしていますか?年何回しますか?機械ですが手作業ですか,それとも馬による耕耘ですか?

GG:畑は年2回,機械によって耕耘しています。

1902年植樹のカリニャン IZM:下草を生やしていますか?あるいは除草をしていますか?いつ,どのように,どの程度,除草や叢生を行なっていますか?

GG:畑の畝の2本に1本は下草を生やしています。葡萄樹の根の周辺は,機械で掘り起こして除草しています。

IZM:コンポストや肥料,堆肥などを使用していますか?

GG:今,2009年から使うために羊の糞のコンポストを準備していますが,2001以来,肥料や堆肥は一切使用していません。

IZM:収量はどのようにコントロールしていますか?剪定法,芽かき,摘芯,グリーン・ハーヴェスト,除葉の方法についても教えて下さい。

ギョーム・グロ GG:収量は葡萄自身によって自然に調整されます。私の畑では,葡萄樹が私が望む以上の葡萄をつけることはめったにありません。剪定は,常に4〜5本の枝を残し,1枝につき芽を2つ残しています。芽かきは畑の全てで行い,1枝につき2つの芽しか残しません。摘芯は一般的に開花の後に行います。グリーン・ハ−ヴェストは必要な場合,特に樹齢の若い葡萄樹に関して行なっています。

IZM:貴方は,果実だけでなく果皮が成熟することが良いワインの条件であるといっていますが,それはなぜですか?また,果皮の適切な成熟をどのように判断しているのですか?

GG:この答えはあくまで個人的なものですが,果皮の成熟は葡萄の皮を味わって判断しています。皮は歯で噛むことができますが,乾いていたり植物臭や植物味がある間は噛み切ることができません。この方法はとても重要です。なぜなら,赤ワインは果皮と果汁のマセレーション(浸漬)によって造られるものであるからです。ですから,もし皮が植物的であれば,ワインも最後には植物的になってしまう危険が大いにあるのです。

ドメーヌの畑 IZM:では,参考までに,最近のヴィンテージの収穫日を教えて下さい。同じアペラションの他の造り手と比べてどうですか?

GG:申し訳ありません。私はあまり重要でないことはメモしていません。ですから,それぞれの品種,それぞれの区画の収穫日がいつであったか,正確なことは申し上げられません。果皮の成熟に関してもう少し付け加えれば,私は,ドメーヌのそれぞれの区画での一年の仕事を通して作られる葡萄との関係の結果として,感性によって判断しています。つまり,羊飼いと羊のように,栽培家と葡萄との間の完璧な調和,対話,観察,お互いの反応,といった結果として,葡萄の感覚的なアプローチが極めて個人的なものとして習得できるのです。一見,哲学的なことと思われるかもしれませんが,実際は非常に現実的で単純なことです。

IZM:コテ・テロワールの醸造には,ドメーヌ・ド・ラ・グランジュ・デ・ペールの醸造に使用したドゥミ・ミュイが使われていますが,なぜ使うことにしたのですか?ローラン・ヴァレとは親しいのですか?

GG:ドゥミ・ミュイを使うことにしたのは2003ヴィンテージ以降です。2003ヴィンテージまでコテ・テロワールはバリックの新樽と一年樽,二年樽で熟成させていました。コテ・テロワールはグルナッシュが主要品種のワインです。数年の経験を経て,私はグルナッシュが酸化しやすい葡萄品種に属していることが分かったのです。つまりバリックよりは大きい樽で熟成させる方が良いと判断したのです。2004年から容量600-630リットルのドゥミ・ミュイでの熟成を試し始めました。結果として,コテ・テロワールはより明確なアロマと長い口中を獲得することに成功しました。ドメーヌ・ド・ラ・グランジュ・デ・ペールの白の醸造に使用したドゥミ・ミュイを選んだのは,グランジュ・デ・ペールの赤の熟成には225リットルのバリックが使われていたからです。ローラン・ヴァレとは,ソムリエ時代の10年以上前からの友人です。彼は私がワイン醸造に携わるにあたって大変な手助けをしてくれました。

ギョーム・グロ IZM:ドメーヌでは何人の人が働いていますか?

GG:私1人で働いています。必要な場合にはアルバイトを雇います。

IZM:好きなワインの造り手,あるいはワインに対する哲学に共感する造り手の名前を挙げてください。

GG:ソムリエという前職のおかげでフランスの多くの造り手と出会うことが出来ました。私が尊敬する造り手の数は沢山ありすぎてリストにしたら切りがありません。

IZM:今までで最も感銘を受けたワインを教えて下さい。?

GG:白ワインではオステルタッグ,アレクサ(イルレギー),ドーヴィサ,ソゼ,ダ・ローズなど。赤ワインではオーギュスト・クラップ,ジャメ,グライヨ,ニコラ・ロシニョール,ジョブロ,ボノー,レイヤス,サンタ・デュック,ジャナス,ペイル・ローズ,グランジュ・デ・ペール,サンタントナン(フォジェール),クーム・デル・マス(バニュルス)などです。

IZM:貴ワインと,同じアペラションのその他のドメーヌのワインとを区別する決定的要素は何であるとお考えですか?

GG:仕事,哲学,品種によって異なる感動を与えられることだと思います。

ドメーヌの畑 IZM:貴方はワインに非常にユニークな名前をつけていますが,なぜ,その名前をつけたのですか?どういう意味があるのですか?

GG:まず,「エル・ニーニョ・ロコ」とは,フランス語でL'enfant fou/ランファン・フー(クレイジー・ボーイ),L'enfant terrible/ランファン・テリーブル(手に負えない子供)を意味します。これは,地元の他の造り手たちが私につけたあだ名です。私がグルナッシュとカリニャン,そしてメジャーでもトップでもないこのリュベロンのアペラションに夢中だからです。スペイン語の名前にしたのは私がスペインの血を引いているからです。母方の祖父母がスペイン人でした。異なる文化の融合は私にとってとても大切なことです。

「プルクワ・パ」は,アペラシオン制定から20年を迎えたにも関わらず,未だに観光以外のイメージがないこのリュベロン地方で造られるワインの品質に関して,このワインを飲む人全員に投げかけている言葉です(プルクワ・パはフランス語で「どうしてダメなことがあろうか?」という意味)。

ギョーム・グロ 「コテ・テロワール」という名前は(フランス語で「テロワールの横」,「テロワールに寄り添って」という意味),実はまだ誰も良く知らないこのリュベロンの魔法のようなテロワールのカンテサンス(フランス語で本質,神髄,エッセンスという意味)を抽出するための猛烈な畑仕事の結果によるものです。実際,これまでのところリュベロンのイメージというのは品質よりも観光というイメージが大きかったと思います。

IZM:貴方のワインはどんな国に輸出されていますか?

GG:アメリカ,カナダ,英国,ベルギー,ドイツ,デンマーク,スイス,モーリシャスなどです。数年前にアラン・デュカス・グループの統括ソムリエであるジェラール・マルジョンが東京のレストラン・ベージュとブノワのためにコテ・テロワールを譲って欲しいと言って来たので,少しだけ提供したことがありますが,私のワインは日本ではまだそこでしから売られていません。ですから,日本のマーケットには非常に興味を持っています。
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